書評;死体泥棒

相変わらずインモラルな小説を書く人です。
でも作者がインモラルなわけじゃなくて、登場人物がみんな反社会的、冒涜的であって皆それを自覚しているから安心して読める。人によってはそれでも嫌悪感あるかもしれないけど。タイトルの死体泥棒は比喩でもなんでもありません。本当に主人公は死体を泥棒するのです。
そして始まる死体との共同生活。

掲示板スレッドは金太郎飴と呼ばれていたけれど、確かに氏の話には葬儀場やヒステリックなおばさん、自分の悪性を知って尚突き進む人、価値観はすれ違いながらも互いを理解だけはできる年上の人間、類型が多いと思う。

この作品は凄く面白かったけど、果たして金太郎飴なのか?
プシュケをよんだのが氏の作品の最後で、暗い部屋やドッッペルゲンガーの恋人は買ったはいいけど積んでいる。あ、犬憑きさんはよんだ。あれは金太郎飴じゃなかった。